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認知療法 ここまで急速に発展してきたカウンセリングの分野でしたが、個人の経験から来る理論、そして神秘的な力に頼っていた傾向があった為、いまいち信頼性・独自性に欠けていましたが(占いや祈祷等と変わらぬ扱い)、アーロン・ベック博士の考案した認知療法、そしてスキナー博士の考案した行動療法の登場により、カウンセリングは科学の1分野として発展を遂げていく事となります。ちなみに、現代では認知療法と行動療法は目指す所が近いという事から認知行動療法と一緒になって呼ばれる事が多いです。 従来のカウンセリングではクライエントの過去の出来事を中心に話し、それに対してのアプローチを行うという作業を永遠と続ける為に治療に対して長い期間を要しましたが、認知療法は現在起こっている問題に対してのみのアプローチだけで問題改善は完遂されるという考えの為、認知療法は従来数年単位が基準であったカウンセリング期間を数セッションに縮めるという革命を起こします。 認知療法では人が抱える問題というのは長い人生の中で培われた、学んだ物事を捉える認知能力のずれにより起こると考えられました。例えば リストラされた → 辛いな〜。もう死のうかな〜。 リストラされた → この会社は自分にあわなかったな〜。じゃあ、独立して頑張ろうかな! 事象「リストラされた」というのは変わらないのに、自分の認知の違いで大きな違いを生みます。つまり、起きた物事は大した問題ではなく、どうそれを認知、捕らえるのかが問題なわけです。 特筆するべき事に認知療法にとって「悲しい・辛い」といった感情はあまり重要ではありません。それよりも、「どのような考えがそれらの感情を引き起こしているのか?」という事の方が重要視されます。ですので、「あなたは今どう感じますか?」という感情に焦点を当てた疑問の仕方ではなく、「あなたは今どう考えているのですか?」という考えに焦点を当てた質問を多用します(カウンセラーによっては考えに関する質問だけでまったく感情について触れない人もいます)。 認知には3つの違った種類があります 1.自動的考察 - 起こった物事に対して自動的に湧き上がる考えです。 例 テストがある (事象) → 落ちる (自動的考察) 上司が来た (事象) → 悪い事が起きる (自動的考察) 2.中間的考察 - 自動的考察を形成する、強い自己ルールや態度 例 テストがある (事象) → こんなに難しくする必要ないのに!(中間的考察) → 落ちる (自動的考察) 上司が来た (事象) → こんな所に上司が来るはずがない (中間的考察) → 悪い事が起きる (自動的考察) 3.中心的考察 - 長年の経験や学びが蓄積され形成された中心的考え。自動的考察や中間的な考察に大きな影響を及ぼす 例 テストは何時も悪い点だ (中心的考察) → テストがある (事象) → こんなに難しくする必要ないのに!(中間的考察) → 落ちる (自動的考察) 上司に呼ばれると何時も怒られる (中心的考察) → 上司が来た (事象) → こんな所に上司が来るはずがない (中間的考察) → 悪い事が起きる (自動的考察) 認知療法では認知を上記のように細分化し論理だっていない部分をスムーズに思考が流れるよう、アプローチを仕掛けていきます。 例えば、「テストは何時も悪い点だ」という考えは、次も悪い点である必要はないですよね?また、「上司に呼ばれると何時も怒られる」では本当に何時も怒られていますか?一度も褒められた事はないのですか?というアプローチが出来ます。 人が認知ずれを起こす理由として以下のものがあります。 1.全てもしくは偏った考え方 − 例 皆出来たのに自分だけできない。果たして本当に全員できたのでしょうか? 2.極論 - 例 数学が出来なかったらから、自分はもう理系は選択できない。数学だけが理系になれる条件でしょうか?また、数学全てが出来ないのですか?それとも、数学の中の何か一部分が出来ないのですか? 3.メンタルフィルター - 物事の一部分しか見ようとしない考え。例 生きていく事は辛い。あなたの人生全てが辛いことですか? 4.ポジティブ思考の排除 − 悪い事・考えを積極的に拾い上げていく。例 私は料理が得意ではないから良い母親ではない。料理が出来るだけが良い母親の条件ですか? 5.まとめへの飛躍 - 一つの物事だけで、話を完結させてしまう。例 昨日自分の娘が悪い子と話しているのを見た。きっと、家の娘は不良グループに入ってしまっている。。他の友達はどうですか? 6.誇張・縮小 − 悪い事を誇張して考え、良い事を縮小させてしまう考え方。例 息子が物を盗んだ → きっと不良になったんだ!(誇張) 娘がテストで良い点を取った → きっと今回だけだ・・(縮小) 7.感情的理由 − 感情に流されてしまう。例 自分はこの世に必要のない人間のような気がする。誰がそう伝えたのですか?どのような理由でそう思うのですか? 8.”すべき”という考え - 〜すべきという考えで自分の思考を縛り付けてしまう。例 子は親の言うことを聞くべきだ!どのような理由からですか? 9.先入観 − 例 この人は悪そうな顔だからきっと悪い人だ。 10.自責 − 全ての物事が自分のせいだと考える。例 事業が上手くいかないのは、自分の能力が低いからだ!理由はそれだけですか? 11.拡張 − 他の可能性を否定し、ネガティブな考えを拡張する。例 うつ病になった → もう仕事には復帰できない。治療後はどうですか? 12.マインド・リーディング − 他人の心を読み、それを確認せずネガティブに捕らえてしまう。例 あの人、自分に挨拶をしてこない → きっと私の事嫌いなんだ。本当にそうですか?気づかなかっただけではないですか?もしくは、照れているだけではないですか? 13.トンネル視野 - 場面において悪い側面ばかりに考えが集中する。例 息子が学校でいじめられているのに、今まで知らずに過ごしていたなんて・・・。親として最低だわ! 認知療法の技法には以下のものがあります。(注:認知療法は研究が進み多くの技法が考案されている為、下記のものはその中のほんの一部です) 積極思考 − 物事の捉え方をポジティブに出来るようにする訓練です。うつ病等の気分の落ち込みが激しい症状に効果が高い療法です。詳しい説明はこちら。 行動スケジュール − 気分が落ち込む、または問題を抱えている状態で新しい行動、考えを行うように仕向け、その中から新しい考えを発見させる療法です。 イメージ − ポジティブ、もしくは問題解決をした後の事を想像させ、新しい物事に取り組む力、積極的になれる感情を植え付けます。 認識モデリング − 自分の頭の中で、問題を解決する手順や方法を実生活で行う前に想像させ訓練させます。スポーツ選手等が試合前によく行います。 思考停止 - 悪い考えが堂々巡りしている時に自分の頭の中、もしくは大声で「止まれ!」と叫び、思考を停止させます。 セルフトーク − 自分自身で考えをポジティブに持っていけるように、会話をします。 スローガン − 自分がポジティブになれる言葉や物を自分の生活の周りに貼っておいたり、置いておきます。 日記 − 毎日の出来事の中で自分がどう考えたのか、どういう認識ずれを起こしたのか、そしてどういうポジティブ思考が出来たのかを記録します。 手紙 − 自分の感情や気持ちを伝えたいのに、伝える事が出来ない相手に使うと効果的です。(今でも昔でも人の心を打つのはやはり、直筆の手紙ですよね!) 選択の体系的査定 − 自分が与えられている選択を紙に書き出し、それらを選択することにより自分の人生で起こりうるアドバンテージとディスアドバンテージに1−10の点数をつけます。そうすることにより、自分にとって現実的な選択を客観的に判断する事が出来るようになります。 リフレーミング − 経験や受け止め方を今までとは違うように促します。 ロールプレイ - 実際の場面で行動を起こす前に、別の場所(カウンセリングルーム等)で練習をします。 論理的感情的ロールプレイ - クライエントが感情的な部分を演じ、カウンセラーが論理的な部分を演じ、お互いの考えをぶつけあいます。その過程において二つの意見が合致するアイデアを模索します。 古い考えと新しい考えのロールプレイ − ゲシュタルト療法の空席療法と似た療法で、二つの椅子を用意し、一方の椅子に座る時は自分が持っていた古い考えを演じ、もう一方の椅子に座る時には新しく学んだ、発見した考えを演じます。この二つの考えを演じ、葛藤させる事により、新しい考えにより自分がどう変化したのかを具体的に知ることが出来るようになります。 遠距離 − 自分の現在抱えている問題が未来でもまだ問題となっているのか?という考察を促します。 読書療法 - クライエントに本を読ませ、その内容について話し合います。(大抵は自己ヘルプやカウンセリング関連の本が多いです) 数ある心理療法の中で何故この認知療法、そして行動療法は発展を遂げ続けているのでしょうか?それは、単純に効果が分かりやすく計りやすいからです。漠然と「何か変わってきたかも?」というよりは、「1ヶ月前はこういう考え・行動が出来なかったのに、この療法を使い、こういう事が起きたのであなたは変わったのですよ。」と言った方がカウンセラーにとっても、クライエントにとっても分かりやすいですよね。 認知療法・行動療法・認知行動療法は僕のカウンセリングの中でも中心的役割を持ち、誰かに「あなたは何療法家?」と聞かれれば間違いなく「認知行動療法家であり、催眠療法家でもあります。」と答えますが、もちろんこれらの療法も完璧ではありません。カウンセリングとはクライエントによって何百通りと変わるものです。ですから、時にはこれらの療法を使わない方が良い事もあります。ですが、カウンセリングの効果の高さ、そして研究の発展具合等を考慮するとこれらの療法を知り、学び、実践していく事は現代カウンセラーの必須事項ともいえるでしょう。(アメリカではこれらの療法を行わなかった事により訴訟を起こされたカウンセラーもいるぐらいですから・・) 参考文献 Seligman, L. (2001). Systems, strategies, and skills of counseling and psychotherapy. Prentice-Hall, Inc. NJ. 心理療法コーナー 精神分析 - 個人心理学 - 来談者中心療法 - ゲシュタルト療法 - 実在的療法 - NLP療法 - 催眠療法 - 認知療法
カウンセリング 相談ルーム KNH心療所 カウンセリングルーム: 〒103-0012 東京都中央区日本橋堀留町 1-3-16 S-1 日本橋 事務局: 〒350-0247 埼玉県坂戸市西坂戸 5−18−12 2F TEL: 049-227-9760 Mail: admin@knhclinic.com 電話受付時間: 午前10時 ― 午後9時まで (日曜休診)
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