第十五回 たった1つの言葉

こんにちは、カウンセラーの山名です。

皆さん映画は好きですか?僕は好きと言えば好きなのですが、どうも時間がもったいないような気がしてあまり見ません。ですが、僕がカウンセラーとして大切にしている一つの映画があります。それはマット・デーモンが脚本を書き、主演した「グッド・ウイル・ハンティング」という映画なのですが、あまりの感動と衝撃にレンタル屋で借りた直後にDVDを買い何十回と見、さらにはテレビで放送された時にすら見てしまったという僕にとってはバイブル的な映画です。今となってはそこまで見ませんが、それでも仕事に行き詰った時には見ています。

何がそんなに好きか?それは残念ながら映画の内容ではないのです。もちろん、それもありますがロビン・ウイリアムスが好演するカウンセラーの役が大好きなのです。ちなみに僕はロビン・ウイリアムスが大好きで彼が出演している映画だけは全部見ています。話を戻して、そのカウンセラーなのですが、かつては優秀な精神分析医だったのですが、最愛の妻をなくしてからは一線を退き、大学の教授をしています。そんな彼の下に天才的な頭脳を持つが、素行不良にて裁判所からセラピーを受ける事を義務付けられた青年がやってきます。最初、彼はセラピーを受ける事に拒否反応を示しますが、次第に信頼関係が築かれ、ついにはその青年は幼い時に受けた虐待の呪縛から解き放たれ自由になります。

このコラムでもお伝えしている通り、カウンセリングには様々な心理療法があります。また、カウンセラーとして教育を受けていく過程において大抵のカウンセラーはこう学びます「カウンセリング中はクライエントが話す時間をなるべく長くする事。」しかし、ロビン・ウイリアムスが演じるカウンセラーは心理療法と呼ばれるようなものは使わず、そして時には自分がひたすら話続け、クライエントに聞かせ、諭す事もあります。彼が行ったカウンセリングはひたすら、その青年との関係の親密化を行い、自分の息子のように思いやる事でした。その結果、青年は彼と話す時間が貴重なものと感じられるようになり、当初はカウンセリングを受ける事を嫌がっていた青年が、最後には時間が終わる前にカウンセリングを打ち切ろうとするカウンセラーに対して、「まだ、時間じゃないよ!」と強い口調で拒むようになります。カウンセラーが自分自身をクライエントを変える為の武器とする。それはカウンセリングの究極の形と言っても過言ではないでしょう。物を買い、クライエントがある程度の変化を見せる毎にご褒美としてそれをあげるというやり方はあったりもしますが(特に幼児、青少年へのカウンセリングの場合)、それには限界があります。しかし、自分と会うこと、会えなくなる事を武器にする事には限界がありません。

映画の最後にそのカウンセラーは唯一カウンセリングらしき事を行います。それは、幼児期に虐待を受けていた彼が一番望んでいた言葉を言う事、「君のせいじゃないよ。」その言葉を何度も何度も繰り返し、それを聞いた青年は激しく涙し、そして呪縛から解き放たれるのです。

この映画で学んだ事。それは、カウンセリングとは〜療法を使う事や学校で習ったカウンセラーがするべき事、してはいけない事を忠実に守る事ではなく、そのクライエントが何を望んでいるのかを的確に読み取り、それを根気良く与え続けることなのだという事です。クライエントとの親密な関係を作り、的確な一言を的確なタイミングで言う。それこそがカウンセリングにおいてもっとも必要であり、究極の形なのかもしれません。

ココロ夢カウンセラー

山名和樹

カウンセリング 相談ルーム KNH心療所 ホームへ

カウンセラーコラム トップへ