カウンセリング 相談ルーム KNH心療所:アメリカスクールカウンセラーの一日

カウンセリング 相談ルーム KNH心療所

アメリカスクールカウンセラーの一日 (午前編)

ここでは、アメリカ小学校カウンセラーのある日の様子を物語形式で掲載しています。

カ=カウンセラー

生=生徒

時間
一日の様子
説明
午前7時10分
カ: 「今日も一日始まるな。さて、何時もどおりカフェテリアに行くかな。」
カウンセラーと言えども学校職員の一人なので、カウンセリングだけではなく、色々な学校業務に携わります。早朝業務もその一つで、僕は火曜・木曜はカフェテリアで朝食を食べる生徒の監視。金曜日は外で、車で来る生徒の監視を行っていました。その他にも廊下で生徒が来るのを見守る仕事、体育館で生徒が時間になるまで静かにしているように監視する役等、早朝業務には色々な仕事があります。
午前7時15分 − 午前7時50分まで

カフェテリアにて

カ: 「ほらー、皆。遊んでないで一列に並びなさい。」

生: 「だって、先生。A君が割り込みして来たんだよ。」

カ: 「A君、そうなの?」

A君: 「はい。」

カ: 「駄目じゃないか〜。皆並んでるんだから。もとの位置に戻りなさい。」

食事中

生: 「カズ先生!ちょっと来て!」

カ: 「どうしたの?」

生: 「Bさんが私の悪口言ったの〜。」

カ: 「そうなのBさん?」

Bさん: 「だって向こうから先に言ってきたんだよ。他の人に訊いてみてよ。」

カ: 「誰が先に言ったっていうのは問題じゃないんだよ。一番問題なのは、人を傷つけあっているという事じゃないのかな?」

 

多くの生徒が一斉に集まるカフェテリアでは、毎日のように何かしら起きます。大抵は列の割り込みや喧嘩などですが。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

問題が起きた時には時間の関係もあるので、早急に解決しなければなりません。短時間の間に頭ごなしに叱るのではない教育的な指導を行うのは困難ですが、それがスクールカウンセリングの奥の深さでもあります。

 

 

ご飯を食べ終わった生徒は体育館に行き、授業が始まるまでの時間、そこで待機しなければなりません。それを嫌う生徒が多く(体育館では私語してはいけないため)、何とかカフェテリアにいようとするのですが、それを注意して体育館に行かせるのも仕事です。

午前7時50分ー午前8時

受付の前にて

早朝アナウンスメント

校長先生: 「今週のスター生徒の名前を呼び上げます。3年A君。4年Bさん。5年Cさん。以上の生徒は受付のカズ先生の所まで来てください。」

生徒が来る

カ: 「おめでとう〜。皆、良く頑張ったね!」

掲示用の写真と記念品をあげる

 

毎週金曜日はその週に一番頑張った生徒を各学年毎に表彰する日でした。校長先生の早朝アナウンスメントの時にそれら、生徒の名前を呼び、呼ばれた生徒は受付に来ます。僕は受付で待ち、来た生徒を順番にポラロイドカメラで写真を撮り、景品をあげます。撮った写真はボードに先生のコメントと共に一週間飾られます。(この物語の日付は金曜ではありませんが都合上、この話を入れました)

 

 

 

 

午前8時5分ー午前8時45分

クラスにて

カ: 「前回は何について勉強したか、覚えている人はいますか?」

生: 「尊敬について勉強しました。」

カ: 「そうだね。では、今日は I feel の使い方について勉強しましょう。I feel というのは・・・」

日に1・2クラス程度、僕が直接クラスを訪れて、道徳の授業をしたり、クラスの問題を解決したりする、クラスルームカウンセリングを行っていました。多くの生徒と触れる事の出来る、僕の仕事の中で一番楽しい時間です。
午前8時50分ー午前9時35分

会議室にて

先生: 「D君のIEPはこのような感じに進められていて、妥当だと思いますが、どうもD君から覇気のようなものが感じられないのです。」

親: 「そうですか。家では頑張ってるんですけどね・・。」

カ: 「この会議の内容はこのように、記述しましたが皆さんよろしいですか?」

全員 「良いと思います。」

カ: 「それでは、最後に皆さんのサインをよろしくお願いします。」

IEP= Individual Education Plan (個人教育プラン)

IEP会議では僕はLEA(Local Education Agency=地域教育省)代表として会議に参加し、会議の進行、そして会議内容の議事録をつけます。もちろん、自分の意見があったり親が質問をしてきた時には発言します。

IEPは特別学級の生徒に対してのプランの為通常、特別学級の先生が中心となって会議を進めます。

 

 

 

 

 

IEPは訴訟問題に発展する事が多い為、会議終盤には多くの書類が飛び交います。

午前9時40分ー午前10時15分

カウンセラー室

プルルルル〜 (内線の鳴る音)

カ: 「はい。」

受付: 「カズ先生。新入生が見えてます。」

カ: 「分かりました。今行きます。」

受付

カ: 「初めまして、カウンセラーのカズです。」

親: 「始めまして。」

カ: 「それでは、こちらにどうぞ。」

カウンセラー室

カ: 「それでは、これらの書類にご記入下さい。Fさん(新入生)には今から読みと数学のテストを受けてもらいますので、こちらにどうぞ。」

カ: 「Fさんは明日から入学できますので、明日の朝に先ほど指定されたスクールバスで来てください。」

 

 

 

新入生の受け入れもスクールカウンセラーの仕事です。

 

来客の場合は大抵の場合、内線で呼び出された後、受付まで直接迎えに行きます。

 

 

 

当校では新入生は学力レベルを計り、各クラスの学力を均等化する為に読みと数学のテストを行います。読みのテストはリトラシーコーチと呼ばれる先生の担当で、僕が数学のテストを担当します。

 

 

 

入学は翌日からとなります。当日は上記の学力テストと校内見学で終わりです。

午前10時20分ー午前10時55分

カウンセラー室

カ: 「今は5年生の昼休みの時間か〜。D君と話してみよう。」

校庭

カ: 「Dく〜〜〜ん〜〜〜〜。(外なので大声)」

D君: 「何?カズ先生」

カ: 「この前の事でちょっとお話したいんだけど、いいかな?」

D君: 「いいよ。」

カウンセラー室

カ: 「あの話、その後どうなったの?」

D君: 「あれはね・・」

20分後

カ: 「そっか〜。色々ありがとう。もう、戻っていいよ。」

D君: 「うん。またね。」

カ: 「まだ、時間があるな。校内を周ってこよう。」

4年生廊下

生: 「あ!カズ先生。こんにちは〜。」

カ: 「Hさん。こんにちは。」

Hさん: 「先生。後でちょっと話したい事があるんだけど・・・。」

カ: 「じゃあ、この後の4年生の昼休みの時間でいかな?」

Hさん: 「いいよ。」

カ: 「後で呼びに来るね。」

図書室

カ: 「どうです、調子は?」

先生: 「ああ。カズ先生。そういえば、この前あの生徒が・・・」

生徒を呼び出し、話すのはよほどの理由が無い限り原則として休み時間、もしくはアカデミータイムと呼ばれる個別授業時間です。アメリカの学校はまとまった休み時間が日に1度しか無いですが、学年毎に休み時間が違う為、日に最低でも4人の生徒と面談する事が出来ます。(現実的に言えば、他にも色々と仕事があるので、面談だけに1日の全ての時間を割くというのは不可能ですが・・)

 

 

 

 

カウンセリング後のケアーも重要です。

 

 

 

様々な時間的制約のある学校では個人に対して複雑な心理療法を行う事は無理です。ですので、カウンセリングは短期的療法を中心に行い、なるべく1セッション20分以内に収めるようにします。

 

 

時間に余裕が出来れば校内の様子を見回りに行きます。そうする事により授業中の生徒の様子を見れたり、トイレに出てきた生徒と会う事も出来ます。信頼関係を築くには、やはりなるべく生徒と接する事でしょう。

 

このように、カウンセラーが校内を動き周る事により相談室に来にくい生徒も気軽にカウンセラーと話が出来るようにもなります。

 

 

 

 

教員とのコミュニケーションも重要です。やはり、生徒のことをよく知っているのは普段から接している先生なので。

午前11時ー午前11時45分

カ: 「もう、こんな時間か〜。Hさん呼びに行かないと。」

カフェテリア

カ: 「Hさん。ご飯食べ終わったら、先生に言っておくから、僕の部屋に来て。」

Hさん: 「わかりました。」

カ: 「先生。Hさんとお話したいので、食事が終わったら僕の部屋によこしてください。」

先生: 「分かりました。」

カ: 「F君の504の件とK君の事でスクールナースと話さないと」

保健室

カ: 「先生。F君の504の件で来ました。」

ナース: 「ああ。病院から資料届いてますよ。」

カ: 「じゃあ、F君の件はこんな感じで会議を進めていきましょう。それとK君への家庭訪問ですが、今日の午後大丈夫ですか?」

ナース: 「じゃあ、1時20分ぐらいでどうです?」

カ: 「それでいいです。」

カウンセリング室

Hさん: 「あ〜。カズ先生!どこ行ってたの!」

カ: 「ごめん、ごめん。さ、中入って。」

カ: 「で。今日はどんなお話?」

Hさん: 「うん。実は、お母さんのボーイフレンドが・・・」

カ: 「それは大変だ!辛かったろうにね。。この後直ぐにDSSという所に電話してHさんが家で安全にいられるようにしてもらうから。」

Hさん: 「大丈夫?」

カ: 「大丈夫。彼らはそういうケースを多く扱ってるから、Hさんの事をきっと助けてくれるよ。さあ、後は僕にまかせて校庭で皆と遊んでおいで。」

Hさん: 「うん。」

ぷるるるるる〜 (DSSに電話をかける)

オペレーター: 「DSSです。」

カ: 「サルーダ小学校カウンセラーのカズです。子供保護課をよろしくお願いします。」

オペレーター2: 「子供保護課です。」

カ: 「うちの生徒の件でお話したい事があるのですが。」

オペレーター2: 「分かりました。詳しい内容をお聞かせ下さい。」

カ: 「実はさきほど・・・」

オペレーター2: 「分かりました。今日の午後ぐらいにそちらに伺って良いですか?」

カ: 「ええ、大丈夫です。」

 

 

 

 

アメリカの小学校では休み時間と言えど、生徒は行動を自由に出来ないので生徒を団体行動から離れさせる時には必ず、先生の許可を取る必要があります。

 

 

膨大な仕事量をこなさなければならないスクールカウンセラー(特に僕の学校では)に空き時間はありません。ちょっとした時間でも有効に使う必要があります。

医療が絡む会議の時は必ずスクールナースと事前に打ち合わせをし、会議にも呼びます。

学校では生徒の医学的な問題が絡む事も多々ある為、スクールカウンセラーには基礎的な医学の知識も必要です。

 

 

家庭訪問を行うのもカウンセラーの仕事の一つです。教員が家庭訪問を行いたい場合も大抵スクールカウンセラーは帯同します。

 

 

そんなこんなで、自分から生徒に「来い。」と言ってその時間に遅れる事もしばしば・・。

 

 

あまりある話ではありませんが、まったく無い話でもありません。そして、大抵そのような話は突然やってきます。

自分の学校の生徒が身の危険にさらされている可能性がある時にはDSS(Division of Social Service)という国の機関に連絡しなければならない義務がカウンセラーにはあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

DSSの職員は大抵その日に学校に来て、生徒から事情を取り、その日の午後に家を訪れて状況を確認し、しかるべき処置を取ります。

午前11時50分ー午後12時25分

カ: 「イーメールをチェックしよう。」

イーメール: 「4年のA先生ですが、E君が言う事を聞いてくれなく、困っています。直ぐに来てください。」

A先生のクラス

カ: 「E君どうしたの?ちょっと外で話そうよ。」

E君: 「いやだよ!」

カ: 「そんな事いわないでさ。5分だけ。ね。」

カ: 「さて、問題も片付いたし、ご飯でも食べようかな。」

カフェテリア

カ: 「皆、今日一日どう過ごしてる?」

生: 「カズ先生。今日ね。私テストで満点取ったんだ〜。」

カ: 「へ〜。すごいね〜。よく頑張ったね〜。」

生2: 「俺も90点取ったよ〜。」

カ: 「皆よく頑張ってるね〜。」

 

先生達は授業中、クラスから離れる事が出来ないので、連絡事項は大抵イーメールです。

先生が手に負えなくなった生徒が自分のクラスから出たら、大抵はカウンセラーを初めに呼び、それでも改善がなかったら校長先生を呼びます。

 

 

問題を起こした生徒は大抵興奮状態にあるので、それを静める為に、こちらが下手に出る事も重要です。

 

 

 

 

僕は何時も生徒と一緒にご飯を食べていました。はっきり言って、カフェテリアはうるさく、生徒の会話等理解できない事が多かったですが、生徒たちの笑顔を見ているだけで「午後も頑張るぞ!」という気にさせられます。

 

どこの国の生徒もテストの点は気になるようです(当たり前ですね。)。アメリカは特に小学校でも落第があるので生徒も必死です。

午後編につづく

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