
経過報告書
個人で開業していると、ついついクライエントに甘えがちになり、「向こうもある程度、分かっているからまあいいか。」と作成する事をめんどくさがってしまう経過報告書。病院やクリニックでは絶対と義務付けられていますが(多分)、個人だと誰も(もちろんクライエントも)言わないので、作成するカウンセラーは少ないですが、この報告書もカウンセリングプラン同様にとても重要な物です。経過報告書により、クライエントは自分のカウンセリングがどこまで進行しているのかを確認する事ができ、安心します。また、カウンセラー自身も自分のカウンセリングがどれだけ正確に、そして効果的に進行しているのかを判断出来る材料となります。もしも、自分のカウンセリングがあまり効果的ではない場合は手遅れになる前に方針を変更する事もできますので、出来るだけ頻繁に作成するようにしましょう。
さて、報告書の作成手順ですが、はっきり言って人によると思います。報告書をクライエントと会うたびに作成したいカウンセラーさんは10ページも20ページも書いていられません。これの目的はあくまでカウンセリングの進行度を測る事なので、分かりやすく、簡潔に書く事が良いでしょう。参考までに報告書の例を載せましたのでご参照下さい。
クライエント名
日付
問題の概要ー カウンセリングした(またはしている)問題の簡単な内容を書きます。1〜2行程度でかまいません。
主観的経過報告ー カウンセラー、及びクライエント(任意)の主観的な経過報告を載せます。主観的なので、クライエントとカウンセラーの意見が必ずしも一致する必要はないです。尚、クライエントからの報告は任意です。
客観的経過報告ー 客観的にみてカウンセリングがどこまでの影響を及ぼしたのかを述べます。なかなか難しいですが、自分がカウンセリング中に使った技法、療法によってどういう効果が出た(又は出る)のかを分析してみるのがコツです。
査定ー 状況を100点満点中、何点と表すと分かりやすいです。もちろん、テストやアセスメントを使った時はそのスコアーをここに書きましょう。
プランー 今後どういった方針でカウンセリングを進めていくのかを述べましょう。カウンセリングプランを作成しているのであれば、そのプランの内容に沿っている必要があります。(もしも、何かしらの理由で沿いたくない場合はカウンセリングプランも変更しなければなりません)
サインー 自分のサインと資格を書いて完了です。
それでは、上記の形式に則ったさらに具体的な例を挙げてみたいと思います。
クライエント名 戸手喪 困瑠子
日付 6−26−06
うつ病による社会生活の不安定
主観的経過報告
カウンセリングの初回という事で、カウンセリングの多くの時間は情報収集に割かれた。戸手喪さんによると、3年程前から気分が落ちる事が多く、家から出られずに会社にも行けない日が多くなった。後に、東京六本木にある不炉意戸クリニックで巣気名亜医師によりうつ病と診断された。セッションの前半は緊張もあったのか、カウンセラーの質問にしっかりと答えられなかったり、言いたい事を躊躇して言えずに黙りこんでしまう所もあったが、段々と状況に慣れてきたのか、セッションの最後の方では受け答えもしっかりとし、笑顔も見られた。
客観的経過報告
このセッションは初回という事もあり、来談者中心療法の技術を使いクライエントとの関係作りに努めた。また、うつの影響により職場に行けないという事を強く悩んでいたので、うつに関する理解を深める為のガイダンスカウンセリング、NLP療法のアンカーそしてゲシュタルト療法のエンプティーチェアを使い、その改善に努めた。結果、クライエントは当セッション後の具体的な自分の行動プランをカウンセラーに述べることができるようになった。
査定
クライエントのセルフレポートによると、カウンセリングを受ける前の自分の状況は100点満点中40点と定めている。カウンセリング後は現状改善の新たな方法の発見、そして自分の病気に関する理解が深まり、ある程度の進展を感じたので50点とレポートしている。
プラン
今後は認知行動療法を基本としたカウンセリングを行う事が妥当だと考える。認知的変化へのアプローチとして、積極的思考トレーニングや会話の中でのカウンセラーによるリフレーミング等の技術による思考の変化を積極的に行う。、行動的変化へのアプローチとしては段階的減少法を使いカウンセリングを進めていく事を現時点では考えている。
山名和樹/MA
参考文献
Seligman., L. (2004). Diagnosis and Treatment Planining in Counseling Third Edition.Kluwer Academic Publisher. NY. P.342.
経過報告はクライエントとカウンセラーがカウンセリングの方向性に関しての考えを一致させる上でとても重要なものです。定期的に提出するようにしましょう。また、クライエントの方でもしも、カウンセラーさんがこれを書かれていないようでしたら、書いてもらえるようにお願いしましょう。
*当心療所では有料サービス申し込みのクライエント様に限り、メールカウンセリングは月に1度、面談、チャット、訪問カウンセリングでは毎回の経過報告書の提出を行っております。(留学、教育相談の場合も同様です)
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