第二十二回 ふれあいと葛藤(下)

彼が僕に教えてくれたこと、それは人間と関わっていくことの難しさ、そしてあらためて経験した自分の能力の限界。彼が問題行動を起こしたり彼から無視されたり冷たい言葉であしらわれたりした時正直、「こんなに頑張っているのにどうしてそんな態度を取るんだろう。」という気持ちにもなりましたし、「何でそこまでして他人の面倒を見なきゃならないんだ!」という気持ちにもなりました。それでも彼が僕だけに時よりみせる純粋さ、そしてなによりも僕という人間に会う事を楽しみにしてくれているその気持ちは、人の為に何かしたいと望み、この道を選んだ僕には何にも変えがたい嬉しいことでした。結果的には状況を何も変える事は出来ませんでしたが、カウンセラーが自分の身を切ってまで何故人の為に働くのか、そのモチベーションのような事が少なからず彼とのふれあいの中から学べたように思います。人を大切にするからこそ自分も大切にされる。個に価値を見出すからこそ自分の価値も見出してくれる。カウンセラーという仕事は人のために働いているようにみえて実は自分のために働いているのかもしれません。

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