第三十一回 社会科見学 1
 ある日、何時もの通りオフィスで雑用に追われていると、サックストーン先生の下にある一本の電話がかかってきました。電話は何時もの事だったので、会話を無視して雑用を続けていると、電話を切り終わった後にサックストーン先生がこう尋ねてきました。「今、ハンティントン高校から電話があったんだけど、今度社会科見学に行くのに引率の先生が足らないから、あなた手伝ってくれない?って。」あんなに迷惑ばかりかけたハンティントン高校からの名指しの電話なんて、嬉しいばかりです。それに何事も経験。ですので、「ぜひやりたいです。」とサックストーン先生に告げると「あなたはきっとそう言うと思って、さっきの電話でもう行くって言っておいたから。」との返答。電話を切る前に一言ぐらい訊いてくれても・・・。

 こうして、ある晴れた日。僕はインターン最初の地、ハンティントン高校に戻ったのでした。そんなに経っていないのに、何故か懐かしく感じるハンティントン高校。今思えば、ここがカウンセラーとしての第一歩を踏んだ場所、つまり僕にとっての聖地なのかもしれません。

 校舎に入り、一直線にガイダンス課のシュタンスプリング先生の下へ行くと、先生は何時もどおり世話しなく、コンピューターの前で何か作業をしている途中でした。実は中学校に電話をかけてくれた主もこの人で、自分の事を常に気にしてくれる本当に良いスーパーバイザーに巡り合えたなと思いました。

 先生は僕に気づくと笑顔で迎えてくれ、中学校での様子についてあれこれと訊くと早速本題に入りました。今回僕が受け持つのは高校4年生(日本の3年生)の1グループで某鉄工所に社会科見学に行くとの事。特に何かをするというわけではなく、付き添いです。もちろん、生徒に何かあったら僕の責任、そしてその僕を指名したシュタンスプリング先生の責任にもなるので、仕事は責任重大です。

 せっかく来たので、一通り他のカウンセラーの人にも挨拶し、中学校の様子を説明すると、集合場所であるカフェテリアへと向かいました。

 カフェテリアには既に生徒が集まっていて、行き先の方面毎に分けられています。シュタンスプリング先生から僕が今回受け持つ生徒を紹介されると、その生徒達と同じ席に座りました。

 見学時につける名札、校長先生からのお話、そして先生からの注意事項が終わると方面毎に呼ばれ、外に待機しているスクールバスへと乗り込み始めました。バスの乗り込みを待っている間はもちろん、3分と黙っていられる年では無いので、あちこちで話し声や悪ふざけをしている声が聞こえ、先生のそれらを注意する怒号もハンティントンの自然にこだまします。僕は付き添いの先生らしく、自分の生徒が全員ちゃんとバスに乗り込み、静かにしている事を確認した後、席につきました。

 そういえば、何時も見ているのにスクールバスに乗るのも初めての経験です。中は思っていたよりも広かったですが、サスペンションが良くなく、本当にゆれます。乗り物酔いをする人は大変でしょうに。バスは予定時刻から30分遅れで出発しました。

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