第五回 高校カウンセラーの仕事
  高校カウンセラーの主な業務は生徒のスケジュール及び成績管理である。アメリカの高校は履修制なので、ある程度はどのクラスを取るのか自由がきく。生徒は年に一度、担当のカウンセラーと面談してその一年どのクラスを取るのかを話し合い、履修する。この履修時期のカウンセラーの仕事はとりわけ忙しい。何せ、一人200〜300人近くの生徒と面談をしてスケジュールを決め、そのスケジュールをコンピューターに打ち込む。しかし、クラスが既にいっぱいだったり、何かしらの理由でそのクラスが取れなく、第二希望のクラスも取れない場合は、生徒を呼び出しスケジュールの再調整をする。すんなりと、生徒が「あなたの言うとおりのクラスを取ります。」といえば楽なのだろうが、もちろんそんな事はありえない。大抵の生徒は「そのクラスは無理。」「あの先生は嫌い。」と言うのが常である。そんな時、カウンセラーは生徒と一緒に他の入れそうなクラスを探したり、生徒を説得したり、既に定員人数いっぱいのクラスの先生のもとに行って特別にその生徒を入れてくれないか?と相談しに行ったりするのである。セメスターが始まってからは今度はクラスに出てみて、やっぱりクラスが合わないと感じた生徒がカウンセラーのもとへスケジュールの変更へとやってくる。セメスターが始まってから2・3週間はカウンセラーのオフィスに生徒が殺到し、「このクラス、やっぱりやだ。」「あの先生嫌だ。」の声がガイダンス課のあちこちから聞かれるのである。

 カウンセラーの名に相応しいカウンセリングの仕事をする機会もそんなに多くはないがもちろんある。それは生徒が自主的に自分の担当のカウンセラーのもとに相談に来たり、先生が連れてきたり。やはり、普段から生徒と先生との関係を保っておくのは大事なんですね。そんな生徒が来た時はドアを閉め(守秘するため)てじっくり話を聞く。しかし、じっくりと言っても書類業務が多いカウンセラーの仕事ははっきり言って一人一人の生徒にそこまでの時間をかけられないのが本音である。生徒も出来るだけ早くクラスに戻さなければならない、なので個人へのカウンセリングにかけられる時間はせいぜい長くて15分といったところである。その限られた時間の中で生徒との親密な関係を作って話しやすい環境をつくり、話を聞いて問題の解決へと上手く導くのである。僕としては、この短期的カウンセリング(ブリーフセラピーと呼ばれる)は奥が深いと思う。最初はさっさと仕事をこなす姿勢が好きにはなれなかったのだが、見て、そして実際にその方法を試していくうちにその難しさ、そして、色々な要素の絡み合いに興味を持つようになってきた。だって、他の分野のカウンセラーたちが1・2時間かけて行う事を10分そこらでしなければならないんですから、その時のみならず普段からの生徒と接する自分の姿勢というのも大きくかかわってしまう。

 日本では先生の仕事である成績の管理もカウンセラーの仕事である。成績の芳しくない生徒を呼び出して、どうしたの?どうすればいいの?と話をする。他にも生徒の大学及び、就職の世話、生徒の親との面談、ACTやSAT等の大学入学試験の管理、転校する生徒の書類業務、ホームルームを使ったグループカウンセリング活動の書類作り、そしてお休みの先生の代理等、高校カウンセラーは仕事がない時など一日、一分たりとも無いのである。

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