第九回 考えの違い
 僕のスーパーバイザーであるシュタンスプリング先生とカウンセラーのベケット先生はカフェテリアでお昼ごはんを一緒に食べる。彼らの考えでは「カウンセラーは常に皆と話す用意があるという事を生徒たちに知っておいてもらわなければならない。」つまり、カフェテリアで生徒に紛れてご飯を食べるのはカウンセリング活動の一環なのである。現に3人でご飯を食べていると、実に色々な生徒が彼らに話しかけてくる。それは、用事からただの世間話まで。さすがに食事中なのでそこまで丁寧に応対はしないが、何時でも生徒との関係を保っておくという姿勢は彼らのプロ意識の高さを感じたものである。僕もそれに見習い、たとえ一人でもカフェテリアでご飯を食べるようにしていた。ところで、他のカウンセラーの人たちの考えはちょっと違う。朝7時に学校入りしてから午後3時に学校を出るまで、休憩をとらずせわしなく動くカウンセラーにとって昼食は重要な休憩時間であるという考えである。つまり、昼食時間はプライベートな時間で、同僚と一つの部屋に集まって話ながら楽しく時間を過ごすのである。当然、その時間に生徒が来ても「今食事中だからまた後できて。」と促す。どちらのスタイルが良いと言えるのかは僕にも分からない。確かに、カフェテリアでご飯を食べるのも仕事という考えは正直言って疲れると思った時もあるが、カウンセラーたるもの人の前に出て仕事をし、問題が起こる以前に行動を起こせるようにするのが常であるとも思う。僕は今の所「学校にいる間は仕事の場。」という考えで動いている。しかし、それは所詮インターンの立場で毎日学校で仕事をしているわけではないから出来るのかもしれない。そう考えると常に生徒の事を念頭に考えて何十年も行動しているシュタンスプリング先生とベケット先生には脱帽ものである。

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