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スクールカウンセリングインターンレポート

 

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第三十六回 中学校インターン最終日
始まりがあれば、終わりがある。既に経験したはずなのに、経験する内容が多く、様々な目新しい事を体験できた為に離れる事が惜しいと思っていた中学校のインターンもついに最終日を迎えました。僕にとっての最終日と言えども、学校にとっては普通の日なので、普段通りに雑用に追われていました。唯一違った事と言えば、生徒とテストの点について面談をする仕事が残っていたため、朝から生徒を呼び出したり、探したりと学校内を右へ左へと走り続けた事と、仲の良かった生徒の何人かがお別れの挨拶に授業をこそっと抜けて(よくないですよね)来てくれた事ぐらいでした。ただ、僕にとっては校舎にある一つ一つの物に深い思い出があり、それを見る度に経験した事を一つ一つ鮮明に思い出す事ができ、今日からこの校舎に来る事は無いと考えると、その思い出の全てが自分を感傷に浸らせ、前に向かう歩を自然と遅くさせます。 その日最後のベルが鳴ると、僕はまっさきに廊下に出ました。生徒達はその日が丁度金曜日だった事もあり、皆、笑顔で足早に家路に着いていきます。僕は目の前を通り過ぎる、一人一人の生徒を見つめ、目のあった生徒には「Have a great weekend!」と声をかけ、最後の一人まで見送りました。この学校での仕事には満足の限りでしたが、心残りは幾つか(カウンセリングを含めた)の仕事を残していく事と、ある生徒から「今度、バスケの試合があるから絶対に見に来てね!」と何度も声をかけられたのに行けなかった事です。

生徒を全員送り出してから程なくして、兼ねてから打ち合わせてあったサックストーン先生との面接が始まりました。カウンセリングに対する考えがまったく違うと知りながら、最後までついて来れたのは、インターンと言えども僕を一人のプロカウンセラーとして扱ってくれ、最後まで僕の事を信じて見守ってくれていたからです。残念ながら先生からカウンセリングの技術についてはあまり学ぶ事は無かったのですが、事務的な事等、アメリカスクールカウンセラーの実態を数多く学ばせてもらいました。

先生と話した内容は

― ウエストヴァージニア州の州法に定められたインターン経験義務の項目をちゃんと満たしたか

― 今後の仕事の引継ぎ

― 僕のインターンで経験した事の感想・反省点

― 先生から見た僕の仕事への評価

先生の評価では僕の仕事振りは本当に目覚しいものであったという評価を貰いました。どのような仕事でも嫌な顔せずに受け入れ、生徒達とのコミュニケーションも上手く取れていたという事でした。ただ、先生から見たら、僕は一人の生徒に時間をかけ過ぎているという話でした。スクールカウンセラーは大抵学校に一人のみの配置であり、雑用も多い為、実際の職場では一人の生徒に長く関わる事は出来ないので、今後はなるべく端的に問題を解決していくようにという事でした。その事は僕も感じていて、実際、一人の生徒と関わりすぎた為に仕事を効率良く回せないという事もありました。これからはそれを上手く行っていく為にも簡易的カウンセリング(ブリーフカウンセリング)の技術を取得する必要があるのかもしれません。

ハグをして先生と別れた後、学校の上から下、隅から隅まで歩き周り、自分なりに別れを惜しみました。途中途中で会う先生にも今日が最後だという話をし、「残念だ。」とか「がんばれよ。」という言葉を数多く貰いました。

最後の最後まで暖かかった先生達、人種、言葉がまったく違うのに受け入れてくれた生徒達、未熟なカウンセラーである僕を最後まで一人のプロとして扱ったくれたサックストーン先生。家路に着く為に車へ向かう歩をゆるめ、止めたのはきっと出会った人一人一人への感謝の強い気持ちがあったからなのでしょう。たった200時間しか働かなかったのに、一生分の思い出を作らせてくれたカマック中学校に感謝します。本当にお世話になりました。

第三十五回 ラーメン食べたい!
 何時も通りカフェテリアの仕事につきながら(ご飯を食べている生徒が喧嘩等をしないように監視する仕事です)、「この年頃の女の子は難しいな。どうやったら打ち解けられるんだろう?」と考えていたある日のことです。一つの女の子集団に手招きされ、こう聞かれました?

女の子A 「ね〜。あなた日本から来たんでしょ?」

僕 「そうだよ。」

女の子B 「日本人ってどんな物食べてるの?」

僕 「う〜ん。ご飯に魚に、お肉に・・・」

女の子C 「じゃあ、あなたはアメリカで何食べてるの?」 (何故かこの質問を聞かれる事は多いです)

僕 「そうだな〜。最近は忙しいからラーメンが多いな〜。(よくない事だけど)」

女の子D 「なにそれ?」

女の子A 「私食べたことあるよ。ヌードルだよね。おいしいよ!」

女の子D 「へ〜。食べてみた〜い。どこで手にはいるの?」

僕 「簡単なものだったら近所のウオールマートに売ってるよ。」

女の子C 「じゃあさ。今度作ってよ〜。」

僕 「僕が?」

女の子A 「そう。今度といわずに明後日あたりにさ。このお昼時間を使ってね。」

そんな様子を遠くから見ていたサックストン先生は一言

「いいんじゃない。食文化を伝えるのも。」 (食文化って、そんな大げさな物でも無いですけどね・・)

 そんな経緯でラーメン計4人分を作る事になった僕はインターンが終わるとその足でウオールマートへ。悩んだ挙句、作りやすいカップラーメン(辛ラーメン)にしました。

 そして当日。ビニール袋にルームメートに危うく食べられそうになったらラーメンを4つ入れて颯爽と学校へ向かいました。

 何時も通り雑用やカウンセリングに追われているとお昼時になりました。早速ラーメンを作る為に下の厨房に降りようとすると

サックストーン先生 「どこに行くの?」

僕 「いや、この前生徒に頼まれていたラーメンを持ってきたので作りにいこうかと・・。」

先生 「ここで作らなきゃだめよ。」

僕 「どうしてですか?」

先生 「キッチンはカフェテリアの人達がオーダーした物しか入れてはいけない決まりになっているの。」

僕 「でもお湯を沸かしてもらうだけですよ。」

先生 「お湯ならもっと無理ね。コンロは今日のご飯の為に全部埋まっていると思うから。」

僕 (それを早く言って下さい・・)

 悩んだ挙句、3階にある電子レンジを使って作る事にしました。ハンティントン高校で働いていた時はこの方法で毎日作っていたし、大丈夫でしょう!

 しかし、問題は電子レンジには1回に1個しかラーメンは入らないという事です。お昼時間は20分と決まっています。ですので、なるべく早く作らなければなりません。

 すでにカフェテリアに来ていた女生徒に全ての経緯を説明して、それでも良いという事で待ってもらうことにしました。

 僕はラーメンが出来上がったら、次のラーメンを電子レンジに仕掛け、出来た方のラーメンを3階から1階へと運ぶ作業を繰り返しました。有名ラーメン店並みの忙しさです。

 最後のラーメンが出来上がった時にはほとんどお昼の時間は終わっていたのですが、彼女達は先に出来たラーメンを分け合って食べた為、量はともかく、とりあえず味を試す事は出来たみたいです。皆、僕に感謝と感想を述べてお昼休みへと向かっていきました。お昼の料には少なくて本当に申し訳なかったですが、とりあえずは食文化を伝える事が出来ました。(日本のご飯はラーメンだけではないですよ〜)

第三十四回 初めての教壇
 ある日の事でした。社会科の先生に「丁度、第二次世界大戦の事をやっていて、日本が出てくるから、クラスに来て日本の事について話てくれないか?」と頼まれました。断る理由も無く、僕自身ぜひ日本の文化を皆に知って欲しいという願いがあったので即座にOKしました。

 それから一週間後。知っている事、過去に調べた事、この為に調べた事、全てを引っさげて学校に来ました。僕が一番心配したのは「英語がちゃんと通じるのか?」ではなく、「クラスをちゃんとコントロールできるのか?」という事でした。多くの先生が関わる事を嫌がる年頃の中学生、ベテランの先生でもクラスをこなしていくのは本当に大変な事だと聞いていました。「ちゃんと聞いてくれるだろか?」「先生が一緒にクラスにいるから大丈夫だろうな。」等と考えながら、朝の廊下を歩いていると、偶然にもその社会科の先生に出くわしました。先生からは一言「今日はよろしく。」もう後には引けません。

 授業は朝一番ではなく、二番でした。ですので、朝から緊張状態を保ちながら、その時を待たなければなりません。しかも、気を紛らわすような手の込んだ仕事は時間の関係上出来ないので、結局ぼーっとしたままその時間を待ち続けました。

 時間になると、重いのか軽いのか分からない足取りでカウンセラーオフィスからクラスへと向かいました。教室に入ると、生徒が一斉に僕の方を見ます。その中の一人が何かを思い出したらしく、「今日は日本の事について話してくれるんでしょ?」と僕に聞いてきました。僕は短く「うん。そうだよ。」とだけ答えました。

 教室の後ろに座っていた先生が僕に気づくと、生徒に席につくように促し、全員が着席した事を確認すると、「今日はインターンのカズ先生に日本のことについて話してもらいます。皆、静かに聴くように。」と言い、僕に授業を委ねました。僕は一呼吸おいた後に自己紹介から初め、日本の文化、考え方、システム等を30分程度話ました。話をしている間は生徒にたまに質問で止められる程度で、皆真剣に聞いてくれました。全てを話し終えた後に「何か質問はありますか?」と訊くと・・・。クラスほぼ全員の手が挙がりました。皆自分が想像していた以上に興味を持ってくれ、僕が知っている事、知らない事のありとあらゆるものを訊いてくれ、時間内では全ての質問に答える事が出来ない程でした。

 「僕はカウンセラーオフィスにいるから、何時でも訊きに来て。」と言い、とりあえず生徒を解散させると、先生から「今のクラスは何時も話を聞いてくれないのに、今日は本当に必死だった。貴重な話をありがとう。」との言葉を貰い、同時に「もう一クラスやってくれないか?」と尋ねられました。実はこの日、僕は他に用事があったのですが、調子に乗っていた僕は「いいですよ。」と受け入れました。

 僕が日本の事について話したという話しは口コミであっという間に学校内に広まり、誰かに会うたびに「何時、クラスに来てくれるの?」「どんな話したの?」と所、誰かれ構わずに尋ねられました。アメリカの中学生にはどうやら日本は大流行のようです。

 そうして向かえた午後のクラスですが・・・。学校終わりの時間が近い事もあったのでしょうか?残念ながら、私語の為に中断を何回も余儀なくされ、結局全てを話し終える事が出来ませんでした。先生も僕に深く謝ると共に「普段はこちらのクラスの方が静かなんだけどな・・。」と不思議がっていました。それでも、授業後は数人の生徒が質問にやってきました。結局、「興味があるのか、無いのか」という話なのかもしれません。そんなこんなで、僕の教壇デビューは幕を閉じたのでした。

 

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